車検が切れたときの罰則や気づいてからすべき対応、注意点を解説

車検は、車を安全に運行するために欠かせないものです。
では、気づかないうちに車検が切れてしまった場合、どのような影響があるのでしょうか?
また、車検が切れたことに気づいたときには、どのような対処が必要なのでしょうか?
今回は、車検の有効期間の確認方法や車検切れのリスク、万が一切れてしまった場合の対処法について詳しく解説します。

車検の有効期間と確認方法

車検には有効期間があります。
数年に一度の車検なので、忘れやすいところでもあるでしょう。
車検の有効期間が切れると、公道を走れなくなるうえにさまざまな手続きが発生するため、忘れずに期間内にしっかり車検を終わらせておきたいところです。
この章では車検の有効期間とその確認方法について確認します。
車検の有効期間はどのくらい?
車検の有効期間は、自家用車であれば新車登録から初回車検までの期間は3年と定められています。
これは普通自動車か軽自動車問わず、です。
初回以降の車検は、2年ごとに設けられています。
一方、営業用の車両や貨物車は、使用頻度が高いため有効期間が短く設定されている場合が多く、1年ごとの車検が義務付けられていることも。
自分の車の有効期間を把握しておくことで、車検切れを防ぐことができるでしょう。
車検の有効期間の確認方法

車検の有効期間は「車検証」または「車検ステッカー」で確認可能です。
車検証には「有効期間の満了日」が記載されており、車検の期間も示されています。
フロントガラスに貼られている車検ステッカーにも、満了年月が表示されているため、日常的に確認しやすいでしょう。
定期的に確認することで、車検切れのリスクを減らせます。
ちなみに、車検ステッカーの表面には満了する年月しか記載がありません。
より詳細を知りたい場合は、裏面まで確認するようにしましょう。
期間内ならいつでも車検を受けられる
車検は有効期間の満了日ギリギリで受けなければならない、というわけではありません。
だいたい満了日の1カ月前から車検を受ける人が多い印象です。
以前までは1カ月よりも早いタイミングで車検を受けると次回の有効期間がずれ込み、その分損をするとされていました(下記表参照)。
満了日 | 車検実施日 | 次回の有効期限 |
2020年6月30日 | 2020年5月31日〜2020年6月30日 | 2022年6月30日 |
2020年6月30日 | 2020年5月30日以前 (1カ月前より早いタイミング) | 2022年5月19日 (2020年5月20日に車検実施した場合) |

しかし令和7年より法律が緩和され、有効期限の2カ月前までなら有効期間のずれが発生しないようになったのです!
そのため車検を受ける時期の選択肢に、かなり余裕が持てるようになりました。
車検の有効期限が2カ月ほど前に迫ったタイミングから準備を始めると、忙しい生活の中でも余裕を持って車検を受けることが可能となるでしょう。
車検が切れるとどうなる?

車検の時期は2年ごとなので、人によっては忘れがちなところでもあるでしょう。
忙しない日常の中、気づけば車検の有効期限がギリギリまで迫っていた……、なんてことを経験した人も、少なくないかもしれませんね。
では、実際に車検が切れるとどのような事態になるのでしょうか?
どこかへ連絡すべき?
車検の切れた車はどうすれば良い?など、疑問を抱かれがちなところについて解説します。
車検切れの車は公道を走れない

車検が切れた状態の車は法律上、公道を走ることができません。
これは、車検が安全性や環境基準を満たしているかどうかを確認する重要な制度であるためです。
公道を走らなければ問題はないため、駐車場やガレージに駐車させているだけであったり、私有地を走行する分には車検切れでも大丈夫。
しかし、このような人は少数派でしょう。
車検が切れた車で再び公道を走れるようにするためには、さまざまな手続きが必要となります。この手続きについては、別の章で詳しく解説します。
無車検・無保険での走行となり、罰則の対象に
車検が切れるタイミングで自賠責保険も同時に切れることが多いため、無車検だけでなく、無保険となる可能性が考えられます。
無車検の時点で公道の走行は禁止(=罰則の対象)されていますが、無保険での走行も罰則の対象です。
もし自賠責保険へ加入しないまま、公道を走行した場合は「自動車損害賠償保障法違反」に該当し、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられます。
ちなみに、自賠責保険の証明書を携帯しないまま運転をしている場合でも罰金対象となるため、車のダッシュボードなどに入れておくなど普段から携帯するようにしましょう。
もしも無保険の状態で万が一事故を起こした場合、自賠責保険が適用されません。
つまり、被害者への補償をすべて自己負担しなければなりません。
車検とともに、自賠責保険の期間も確認しておくことが重要です。
車検が切れたことを、どこかへ報告する必要はない

自分が気づいたときにはすでに車検や自賠責保険の期限が過ぎていた!という場合、特にどこかへ報告しなければならないことはありません。
強いて言うならば、整備工場や車検工場に事情を話す必要はあるでしょうが、これは車検切れの報告ではなく、依頼にあたります。
こうしたことを踏まえても、車検や自賠責保険が切れた際にわざわざ警察などへ連絡する必要はありません。
車検切れのリスクを防ぐためのポイント

車検切れに気がつかなかった、というリスク回避のポイントについて解説します。
愛車の車検有効期限はいつかを確認するついでに、今回紹介する対策についても早めに実践してみてはいかがでしょうか。
車検の有効期間を定期的に確認する
車検の有効期間は日常的に意識しにくいもの。
そのため、定期的に確認する習慣をつけることが大切です。
特に、長期間車を使用しない場合や、セカンドカーなど使用頻度の低い車は注意しましょう。
カレンダーやスマートフォンのリマインダー機能を活用すると、忘れにくくなるでしょう。
時期だけでなく、必要な書類を準備する時間も早いタイミングで確保しておくと、さらに安心です。
事前に車検の予約をしておく
車検が受けられる時期になったら、早めに予約を入れておくのがおすすめです。
新たに車を買う時期━━新生活の始まる1〜3月などの繁忙期は、直前では予約が取りにくいことも。
思い立ったときに予約できないと、次の機会を忘れてしまいがちです。
余裕を持って予約をすることで、車検切れのリスクを防げるでしょう。
更新時期のお知らせを確認する
ディーラーや整備工場の中には、車検の更新時期が近づくとハガキなどで通知を送ってくれるところがあります。
それらを見逃さないよう、郵便物は一つひとつ目を通しておくと良いかもしれません。
ただ、すべての業者が通知を行っているわけではないため、事前に業者へ確認しておくと安心です。
車検が切れた場合の対応
「短距離だし」となんの対応もしないまま、整備工場まで自分の運転で持って行くことは絶対にしてはいけません。
有効期間内に車検を受けることができなくても、受けなおすことは可能です。
慌てず、きちんと対応したうえで整備工場などへ持って行きましょう。
この際、自分で持って行く方法と、業者に頼んで運んでもらう方法があります。
車検を受ける必要はないと言うのであれば、ほかの対応を取ると良いでしょう。
この章では、車検が切れた場合のいくつかの対応方法について解説します。
仮ナンバーを取得して車を移動する

車検が切れた車を自分で移動させる場合、仮ナンバー(臨時運行許可番号標)を取得する必要があります。
仮ナンバーを取り付けることで、車検切れの車でも公道の走行が可能となるのです。
仮ナンバーは管轄の自治体から貸与される、一定期間だけ有効なナンバープレートです。
取得するには、以下の書類を各市区町村役場へ持っていく必要があります。
- 車検証(車検が切れていても可)
- 自賠責保険の加入証明書(有効期間内のもの)
- 運転免許証
- 申請書(役所で用意されている)
- 印鑑
- 手数料(750円ほど)
注意点として、仮ナンバーを取り付けたとしても行きたいところへ自由に行けるわけではないことがあげられます。
仮ナンバーの手続き時には、目的地やそこまでの経由地、使用目的などを事前に決めておく必要があり、そこから離れた場所への移動は原則禁止されているのです。
また、仮ナンバーの有効期間は通常1〜5日程度。
仮ナンバーはあくまでも緊急措置となるため、速やかに車検を受けてから仮ナンバーを返却しましょう。
加えて気をつけたいことが、自賠責保険の加入証明書について。
自賠責保険が切れた状態だと、仮ナンバーを受け取ることができません
仮ナンバーの手続きをする前にかならず自賠責保険の更新を済ませておきましょう。
自賠責保険の更新は、ディーラーや整備工場などで可能です。
仮ナンバー取得後
仮ナンバーを取得したあとは、自分で車検を通す「ユーザー車検」か、自分で整備工場などへ車を持って行き、車検を受ける方法があります。
「ユーザー車検」を受ける場合は管轄する運輸支局に持ち込まなければなりません。
ユーザー車検は自分で車を持ち込み検査を受ける方法で、業者に依頼するよりも費用を抑えられるメリットがあります。
ただ、慣れていない方には難しく手間がかかるため、安易にユーザー車検を試すのはあまりおすすめできません。
一回では車検に通らない可能性も考えられるでしょう。
こうしたリスクを回避するには、やはり専門の業者に頼むことをおすすめします。

陸送サービスを利用して車検場へ運ぶ

仮ナンバーの取得が難しい場合は、陸送サービスを利用する方法もあります。
陸送サービスは、積載車を利用して車検切れの車を整備工場や車検場まで運んでもらう手段です。(レッカー車での牽引は自走扱いとなるため、車検切れの車は対応不可)
陸送費用は距離や業者によって異なりますが、数千円から数万円程度かかることが一般的。
特に長距離の場合は費用が高くなるため、事前に複数の業者から見積もりを出して比較するのがおすすめです。
いっそのこと売ってしまう

車検を更新するか迷っている場合、売却を検討するのも一つの選択肢です。
車検が切れていても、車は所有するだけで課税の対象となります。
車検が切れた車でも売却は可能なため、検討してみるのも良いかもしれません。
特に人気のある車種や状態の良い車であれば、車検切れでも高値で売れる可能性があります。
売却を検討する際には、複数の業者に査定を依頼し、もっとも条件の良い業者を選ぶのがおすすめです。
車検切れの車を車検に通すメリットとデメリット

この章では車検切れの車を通す際のメリット・デメリットについて解説します。
メリット:コスト削減や定期的な整備の機会になる
車検切れの車をそのまま車検に通すことで、新たに車を購入するよりもコストを抑えられます。
また、車検を通す過程で細かい点検が行われるため、定期的なメンテナンスの機会にもなります。
特に、長期間乗り続ける予定の車であれば、車検を受けて安全性を確保することは重要です。
デメリット①:仮ナンバー代や搬送費がかかる
車検が切れた車を公道で移動させるには、仮ナンバーの取得や陸送サービスの利用が必要となります。
仮ナンバーの申請費用は数百円程度ですが、陸送サービスを利用する場合は、距離に応じて数千円から数万円の費用が発生することもあります。
特に、遠方の車検場や整備工場に持ち込む場合は、予算を考慮する必要があるでしょう。
デメリット②:車の状態によってはスムーズに車検に通らない可能性がある

車検は、安全基準を満たしているかどうかを確認するための検査です。
そのため、ブレーキの効きが悪い、タイヤの溝が少ない、排ガスの基準を満たしていない、などの問題がある場合、車検に通らないこともあります。
車検を受ける前に、事前に整備を行い、基準をクリアできる状態にしておくことが重要です。
車検切れの車はどこで車検に通せる?

車検の有効期間が切れたからと言って、何か特別な施設へ持って行く必要はありません。
普段の車検と同様、自分で車検を行う場合は運輸支局へ。
業者に頼む場合は整備工場やディーラーなどへ持って行くようにしましょう。
運輸支局
自分で運輸支局に車を持ち込み、ユーザー車検を受ける方法があります。
この方法は、整備費用や業者への手数料を抑えられる点がメリットです。
ただし、車検に必要な書類を準備し、検査基準を満たすように整備を行う必要があるため、ある程度の知識や時間が必要になります。
整備工場などの業者
業者に車検を依頼することで、手続きや整備をスムーズに進めることができます。
特に、車検の専門業者やディーラーでは、車の状態を細かくチェックし、必要な整備を行ってくれるため、確実に車検を通したい場合におすすめです。
費用はかかりますが、安全性を確保するためには有効な選択肢と言えるでしょう。
車検切れを防ぐためにできること

車検が切れてしまうと、公道を走れないだけでなく、罰則の対象となる可能性もあります。
しかし、仮ナンバーの取得や陸送サービスの利用など、適切な対処をすれば車検を受けることは可能です。
車検の有効期間を定期的に確認し、事前に準備をしておくことで、車検切れのリスクを防ぐことができます。
車検を控えている方は、今回紹介した情報を参考に、早めの対応を心がけてみてはいかがでしょうか。
