車検とは?意味や重要性、準備物や費用などの基本について解説

安全運転に欠かせない「車検」。
しかし、具体的にどのような検査が行われるのか、また、必要な手続きや費用について詳しく理解している方は意外と少ないかもしれません。
この記事では、車検の基本的な仕組みから、費用を抑えるコツまでを詳しく解説します。

車検とは?概要と目的を理解しよう

車検とは、車の安全性や環境基準を確認するため、法律で義務付けられている制度です。
しかし、車検の仕組みや目的を詳しく知らないまま、毎回業者に依頼している方も多いのではないでしょうか。
「なんとなく」で依頼をしていると、必要のない整備や部品交換に気づきにくかったり、見積もり内容が妥当かどうかの判断がしにくかったりなどのデメリットが生じます。
まずは車検の基本的な役割と、よく混同される「法定点検」との違いについて理解しておきましょう。
車検は法律で義務付けられた、安全確認のための検査

車検(自動車検査登録制度)は、道路運送車両法(※1)に基づき、一定期間ごとに行われる検査です。
車両の安全性や環境基準(※2)を満たしているかを確認し、交通事故の防止や公害への対策として、全車両に対して行われます。
この検査に合格しなければ、車は公道を走ることができません。
車検は一度合格すれば良いものではなく、有効期限があるため定期的に検査する必要があります。
有効期限が切れた無車検の状態や、車検証の不所持で運転すると罰則が科されるため、かならず定められた期間内に受けなければなりません。
※1 自動車、原動機付自転車や軽車両などに関する日本の法律
※2 排気ガス規定を満たしているか、などの公害防止について
車検と法定点検の違いとは?

車検と混同されやすいのが「法定点検」です。
多くの場合、法定点検は車検と同じタイミングで行われるため、両者を混同している方も少なくない印象です。
車検と法定点検、どちらも車の状態を確認するものですが、目的や実施義務に違いがあります。
目的 | 実施義務と罰則の有無 | |
車検 | 検査基準を満たしているかをチェックするため | ・義務 ・罰則あり |
法定点検 | 車の性能維持や故障を未然に防ぐため | ・義務 ・罰則なし |
車検は国が定めた基準があり、それをクリアしているかどうかを確認するための検査です。
車検において重視されることは、検査時点でクリアすること。
次の車検までに車が故障しないことを保証するものではありません。
一方の法定点検は、今後のリスクも考えたうえで行われる検査です。
大きな故障につながる恐れがある軽度な修理や、部品交換などを行うのが法定点検なのです。
法定点検は義務とされていますが、受けなかったからといって特に罰則があるわけではありません。
しかし、運転するうえでやはり恐ろしいのは事故や運転中の故障です。
こうしたリスクを少しでも回避するため、法定点検も忘れずに受けるようにすると良いでしょう。
車検切れの罰則とリスク

車検の有効期間が切れた状態で車を運転することは法律違反となり、罰則が科せられます。
無車検車両を運転した場合の罰則は、最大で6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金です。
自賠責保険の有効期間が切れていた場合、さらに罰則が科せられることとなります。
自賠責保険は多くの場合、車検と同じタイミングで契約の更新がなされます。
車検切れとなった場合、たいていは自賠責保険の有効期間も同様に切れていると考えて良いでしょう。
加えて、仮に事故を起こした場合、自賠責保険へ未加入だと保険が適用されず、高額な賠償責任を負うリスクも生じます。
こうしたトラブルを避けるためにも、車検の期限を事前に確認し、余裕を持って手続きを進めることが大切です。
車検の有効期間と満了日の確認方法

車検は一度受けたら終わりではなく、一定期間ごとに更新しなければなりません。
有効期間は車種によって異なり、満了日を過ぎると公道を走ることができなくなります。
ここでは車検の有効期間の違いや、満了日を確認する方法について詳しく解説します。
車検の有効期間は車種によって異なる
車検の有効期間は、車種や用途によって異なります。
一般的な乗用車の場合、新車登録時は3年間、その後は2年ごとに車検を受けなければなりません。
一方、商用車やバス、大型トラックなどは1年ごとの車検が義務付けられている場合が多く、使用状況に応じた検査頻度が設定されています。
車検の満了日を確認する方法

車検の満了日は車検証(自動車検査証)に記載されています。
フロントガラスに貼られた「車検標章(ステッカー)」でも確認可能です。
満了日が近づくと、ディーラーや車検業者から通知が届くこともありますが、通知がこない場合もあるため、自分で定期的にチェックすることが大切です。
車検を1カ月以上前に受けることはできる?

車検は、満了日の1カ月前からでも受けることができます。
一般的には1カ月前から、時間が取れそうにない方は2カ月前からの準備をおすすめします。
これより早く受けることも可能ですが、3カ月以上前に車検を受ける場合は、注意が必要です。
3カ月以上前に車検を受けると、新しい有効期間の開始日が前倒しされてしまうため、結果的に有効期間が短くなる可能性があります(下記表を参照)。
満了日 | 車検実施日 | 次回の有効期限 |
2020年6月30日 | 2020年5月31日〜2020年6月30日 | 2022年6月30日 |
2020年6月30日 | 2020年3月31日以前(2カ月前より早いタイミング) | 2020年3月31日 |
そのため、無駄なく車検を更新するには、満了日の1〜2カ月以内に手続きを進めるのが理想的です。
車検を受けられる場所と予約について

車検を受けられる場所はいくつかあります。
それぞれの特徴を抑えておきましょう。
車検を受けることができる主な場所とメリット・デメリット
車検は、以下の場所で受けることができます。
- ディーラー
- 車検専門業者
- 整備工場
- ユーザー車検(自分で陸運局に持ち込む)
それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
下記の表では、一般的に言われる各業者のメリット・デメリットを簡単にまとめています。
※今回紹介するのはあくまでも一例です。かならずあてはまるものではありません。
メリット | デメリット | |
ディーラー | 専門知識による信頼感 | 費用が高い傾向 |
車検専門業者 | 比較的安価かつ短時間の作業 | ・整備の質が問われる ・限定的な保証内容 |
整備工場 | ・柔軟な対応 ・幅広い車種に対応 | 技術力にばらつきがある |
ユーザー車検 | 費用を抑えることができる | 自分でする手間がかかる |
車検は事前予約が必要?予約のタイミングとは

多くの車検場では事前予約が必要となります。
特に、ディーラーや整備工場では、年度末などの繁忙期になると予約が埋まりやすいため、余裕を持って手続きを進めましょう。
業者に予約をする前に、見積もりを出してもらうことがポイント。
この際、ほかの業者にも見積もりを出してもらって比較検討することで、どの業者が安く対応してくれるのかなどの判断がつきやすくなります。
どこの業者に依頼するのかを決定したら、Webや電話で予約をしましょう。
予約当日までに必要な書類を準備し、当日に業者へ車を持っていきます。
業者によっては代車の準備をしていることもあるので、予約の際に確認しておくと安心です。
車検時に必要な書類リスト

車検を受ける際には、いくつかの書類が必要です。
事前に準備しておくことで、スムーズに手続きを進めることができるでしょう。
車検時には、以下の書類が必要です。
書類名 | 備考 |
車検証(自動車検査証) | 前回の車検時に交付された車検証のこと |
自動車税納税証明書 | 自動車税を納めたことを証明する書類 |
自賠責保険証(自動車損害賠償責任保険証明書) | 多くの場合、車検証とセットで保管している |
身分証明書 | 運転免許証など |
※車検切れの状態でも、有効期間切れの車検証が必要。
車検にかかる費用と内訳

車検を受ける際、気になるのがその費用。
金額は車種や依頼する業者によって異なりますが、大きく「法定費用」「整備費用」「代行費用」の3つに分けられます。
どのような費用がかかるのかを理解したうえで、無駄な出費を抑えるためのポイントをみていきましょう。
車検費用の内訳(法定費用・整備費用・代行費用)
車検の費用は、主に次の3つで構成されています。
1. 法定費用
法定費用とは、法律で定められた費用であり、どこで車検を受けても金額は変わりません。具体的には以下のものが含まれます。
- 自動車重量税:車両の重量に応じて課せられる税金
- 自賠責保険料:事故の際、被害者の補償を目的とした強制加入の保険
- 印紙代(検査手数料):車検の検査を受けるための手数料。条件によって異なる
これらはかならず支払う必要があるうえに、印紙代以外は統一された金額なので、節約することは難しいでしょう。
もし、できるだけ車検費用を抑えたいと考えるのであれば、法定費用以外の「整備費用」や「代行費用」をチェックする必要があります。
2. 整備費用

整備費用は、車の状態に応じてかかる費用です。
車検を通すために必要な整備や、交換が推奨される部品の交換などが含まれます。
業者によっては、車検項目とは関係なく故障や修理が推奨されるところの整備・部品交換を行うことも。
- ブレーキパッドやタイヤの交換
- エンジンオイルやバッテリーの交換
- 各種ライトやワイパーの点検・交換 など
整備費用は、車の状態によって大きく変わります。
定期的なメンテナンスを行っておけば、車検時の修理費を抑えることができるでしょう。
3. 代行費用

代行費用とは、ディーラーや整備工場に車検手続きを依頼した際に発生する費用です。
車検は自分で運輸支局に持ち込んで受けることもできますが、多くの人は業者に依頼します。
代行費用は業者によって異なり、相場は1〜2万円程度。
業者によっては、代行手数料込みのパック料金を設定しているところもあるため、比較して選ぶと良いでしょう。
費用を抑えるためのポイント

車検費用は決して安くありませんが、いくつかの工夫をすることで負担を軽減できます。
今回は下記4つのポイントをご紹介します。
- 複数の業者で見積もりを取る
- ユーザー車検を利用する
- 不要な整備を省く
- 定期的なメンテナンスを行う
複数の業者で見積もりを取る

ディーラー、整備工場、車検専門店、ガソリンスタンドなど、車検を受けられる場所はさまざま。
業者ごとに整備費用や代行費用が異なるため、事前に複数の見積もりを取り、比較することでコストを抑えられるでしょう。
ユーザー車検を利用する
「ユーザー車検」とは、自分で運輸支局に車を持ち込み、検査を受ける方法です。
整備や代行費用がかからないため、法定費用のみで済みます。
ただし、事前に点検整備を行い、必要書類を準備する手間がかかるため、車の知識がある程度必要です。
慣れていない方へはあまりおすすめできない方法です。
不要な整備を省く

業者によっては、必須ではない整備や部品交換を勧められることがあります。
もちろん、安全のために必要な整備は行うべきですが「今すぐ交換しなくても問題ない部品」については、次回の点検まで様子をみるのも一つの方法です。
定期的なメンテナンスを行う

日頃からオイル交換やタイヤのチェックを行い、車の状態を良好に保つことも重要です。
こまめなメンテナンスをしておけば、車検時に大きな修理が必要になるリスクを減らすことができ、結果的に費用を抑えられるでしょう。
車検はかならず受けなければならないものですが、事前の準備や業者選びによって、費用を抑えることは可能です。
適切な方法で車検を受け、無駄な出費を防ぎましょう。
車検のポイントを押さえて安心のカーライフを

車検は、法律で義務付けられた大切な手続きです。
安全運転を続けるためにも、有効期間を確認し、余裕を持って準備を進めることが重要です。
費用を抑える方法も活用しながら、適切な車検を受けるようにしましょう。
